手描友禅 職人の技

白生地・仮絵羽

白い反物の状態の生地を裁断し、きものの形に仮縫いします。 きものの着姿とのバランスを考えながら、合口をあわせる(縫い目の柄を合わせる)ためです

構図・デザイン

絵柄や配置を検討しながら、きもののイメージを紙に描きます。

下絵

仮縫いした白生地に、図案を基に模様の輪郭やあたりを青花で描きます。 青花とは露草の花汁から採取する液で、水につけると消えてしまう液です。下絵を描いた後、仮縫いをほどきます。

糊置き

細い口金の付いた円錐形の筒の中に糊を入れ、模様の輪郭に沿って糊を置いてゆきます。これが染液を挿すときの防染の役目を果たし、 完成すると模様の輪郭として白く浮き上がります。手描友禅に大変重要な工程です。この糊の中に染料を入れ、色の付いた線を出すこともできます。

伏せ糊

色を挿す模様の部分全体を糊で覆うことにより、次の工程である地染めで、模様の中に染料が入るのを防ぎます。 糸目に沿ってしっかり糊を置かないと、模様の部分に色が入ったり、白く残る部分ができますから、細心の注意が必要です。 糊が乾燥しないうちに木の粉をまぶします。

地染め

糊伏せの後、地入れ(海藻ふのりを煮詰めた液と大豆を搾った液を合わせて生地に引く)を行った後、染料を刷毛で生地全体に均等に引いてゆきます。

蒸し、水元、地入れ

蒸し:色を定着させるため生地を蒸しに入れます。
水元:余分な染料や伏糊を水につけて洗い落とします。
地入れ:模様の部分を染めるための地入れをします。

色挿し

模様部分に筆や刷毛を使って色を挿します。単色の場合は筆を、ぼかし染めをするときは刷毛を用いて、 手描き友禅独特の細やかな色彩を描き出します。色挿しは、友禅染の工程の中でも花形ですから、 「挿し友禅」あるいは「友禅」ともいいます。染料がにじむのを防ぐため、真夏でも下から電熱を当てての作業です。

友禅染の染料

独自の色見本から使う色を決め、それに合わせた色をお皿の中に作ります。その色ごとに筆を用意して、一度使った筆はほかの色には使用しません。

蒸し、水元、水洗

蒸し:色を定着させるため生地を蒸しに入れます。
水元:ここでの水元は、余分の染料や地入れした糊を落とします。間かけてします。
水洗:揮発水洗により、糊置き(糸目)を取り除きます。

湯のし

生地に蒸気を当てながらしわを伸ばし、生地の幅や長さを一定に揃え、風合いよく仕上げます。

金彩・刺繍

模様によっては、金箔や刺繍をあしらって華やかさを添えます。

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